ドイツサッカーは歴史的事情・民族的事情から、記録の扱いやプレースタイルに明確な特徴が見られます。
まず歴史的事情については、1952~1990年にかけての東西ドイツ分裂時代の存在に大きなものがあります。同じドイツを名乗りながら別の国として扱われており、政治体制も大きく異なっていたという背景があります。その為、当時のドイツサッカーは国際大会において、西ドイツ代表・東ドイツ代表を別々に編成するという状況にありました。そして統一後については、大会の出場・優勝回数といった通算記録は西ドイツのものを採用し、東ドイツ代表が残した実績は傍流扱いとなっています。FIFAワールドカップ関連の記録でも、この流れを踏襲しています。
民族的事情については、遺伝的に雄大な体格に恵まれた選手が多い事が挙げられます。その為、フィジカルやゲルマン魂と称される精神力に頼る試合を得意にして来たという伝統があります。また同じく体格面の利点で、キーパーの選手層が厚い傾向にあります。
但し2000年代に入ってからは、少々趣を異にしています。データや組織戦術を重視する監督が代表を率いた時期がある事、自身や祖先が移民である選手が代表入りするようになって必ずしも前述の民族的特徴に当て嵌まらない選手が出て来た事が理由です。その為、フィジカル面にデータやパスワーク重視の姿勢も取り入れた、より柔軟な戦術の構築に変遷しつつあります。
堅実なゲルマン人とサッカー
日本のJリーグが発足するときに、参考にしたリーグの制度がゲルマン魂の国であるドイツサッカーです。ドイツはブンデスリーガというリーグで、1部、2部それぞれ18クラブ、3部20クラブの合計56クラブが所属しているリーグです。ブンデスリーガに属するには、世界のサッカーリーグで最も厳しいと言われる、ドイツサッカー連盟のブンデスリーガのライセンス取得しないとプロクラブとしてリーグに参加できない決まりになっています。
経営面に目を向けると、ドイツのクラブはスペインやイタリアのように多額な借金をする事は許されません。それだけでライセンスが剥奪されてしまいます。さらに、スター選手などを特別扱いすることもほとんどないです。それだけブンデスリーガは堅実で真面目なリーグなのです。そういった制度のおかげで、ブンデスリーガに加入できているクラブは経営が安定していて、スタジアムやクラブハウスも充実しています。
他の国のリーグと比べるとクラブ間の力の差も少なく、優勝争いをするチームも毎年変わります。近年は、バイエルン・ミュンヘンが頭一つ抜けている存在ですが、過去にはバイエルン・ミュンヘンが優勝が遠ざかることもありました。